第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
皆が唖然としている中、千歳は気にしていないのかゆっくりと食べ進める
「...ばってん俺こんゲームよう知らんけん、こんあとどぎゃんすっ....」
千歳が尋ねようとしたその時、ガンッっと大きな音が鳴り響き
千歳がピタッと動きを止めた
私も音が鳴った方を視線で追うと千歳が使っていたロッカーは大きくへこんでいた
「白石?」
ロッカーのへこみは蔵だとすぐに分かった
それは笑みを張り付けているものの目がまったく笑っていなかったから
「―――――...あぁ...えぇんちゃう?そのまま食べ進めたったら...なぁ?」
「.....やっぱし...よかばい..」
千歳は慌てて私から離れ、漸く自由になる
「何でなん?はよせぇや」
「いや...あの...スミマセンデシタ..」
(蔵....怒ってる?)
本気なのか冗談なのか分からない私は蔵の態度に困惑し、そのまま固まったままだった
すると謙也がやってきて私の前にしゃがむとそっと話しかけてきた
「なぁ、大丈夫やったか?」
「う、うん」
「いちお聞いとくけど...キスとかしてへんよな?」
「ぇ...されてないよ!!ちょっとビックリしたけど...」
「よかった~...」
「え?」
はぁーっと息を吐き胸を撫で下ろす謙也は私がキョトンとした顔で見ているのに気が付くと急に慌てだした
「あ、いや、オレががポッキー持ってるゆうたからこんなんなったから...」
「謙也のせいじゃないよ!千歳もちょうど私がいたからしたんだろうし...」
「(いや、やからやと思うんやけど)そうか?」
「うん!だから気にしないで?」
私はそう言うと席を立ち、いまだに謝り続けている千歳を助けに皆の中に入っていった
「気に...するっちゅーねん」
謙也の呟きは私には届かず、そして蔵はそんな私達の様子を遠くから見ていた