第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
蔵との距離が思ったよりも近くて
私は急に襲ってきた緊張感に困惑するのに目は離せないでいた
蔵も目を逸らすことなく私を見つめている
収まったはずの心臓はまた騒ぎだしていた
「く、蔵...」
蔵は私の髪を一筋掬うとサラッと撫でるように梳き、ふっ笑い漸く体を離した
「に泣かされてもうた」
「ご、ごめん」
「いや、おかげでスッキリしたわ」
蔵はヘラッと笑うと軽く伸びをする
その姿に私は安堵して胸を撫で下ろしたのだった
「そういやって香水とか付けてたんや?」
「え?私何も付けてないよ?」
キョトンとする私に蔵は少し間をあけると気恥ずかしそうに視線を逸らした
「あー....なるほど」
は意味が解らず首をかしげる
白石は抱きしめた時にふわりと香った甘く優しい香りの正体がシャンプーの香りだと気付くと、胸がむず痒くなる
それは自分が一番好きな香りだったから...
「それって、なんか萌えるな」
その言葉にはやっと意味を理解したのか頬がピンク色に染まっていった
そんな姿があまりにも可愛くて
俺は胸の中に生じた少しの独占欲をごまかすようにに笑みを浮かべた
「そんな真面目なトーンで言わないで...」
冗談に聞こえないと長い睫毛と震わせて照れるは
すごく綺麗で俺は思わず見惚れてしまった
じっと見つめる蔵に恥ずかしさをみせつつも、見られることが嬉しくも感じて、私は淡麗な蔵の顔を見つめ返していた
ああ...
私は
俺は
蔵のコトが好きなんだ...
のコトが好きなんや...