第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
全国大会準決勝、1-3で四天宝寺は敗れた
それと同時に蔵達の夏は終わった
新学期も始まりしばらくして、引退式を終えた私達はお菓子やジュースを持ち寄って送迎会を行っていた
「オレらの夏終わってもうたな小春ぅ....」
「せやねぇユウくん....」
「まぁいつまでもウジウジいとる訳にはいかんからな...今日はヤケ食いじゃー!!」
「あんだけ食うたのにまだ食うんすか」
「白石~金ちゃんがトランプしたいゆうとるばい」
「トランプ~?」
「あ、私持ってるよ!!教室にあるから取ってくる」
「あ、なら俺もついて―――!!!!!」
謙也が付き添ってくれようとしたみたいだが金ちゃんに捕まりもみくちゃにされてるのを見て私はクスッと笑い、
みんなの楽しそうな姿を見やるとそっと部室を出た
「!!」
暫く歩いていると後ろから蔵が走ってきた
「蔵どうしたの?」
「ん?の付き添い」
ニコッと笑う蔵に私はありがとうと笑顔で返した
たわいのない話をしながら歩いていると
遠くの方でカキーンと独特の金属音が聞こえる
「...ねぇ蔵、知ってる?野球部全国大会決勝進出なんだって」
「へぇ、初耳やわ」
「蔵って新聞部にも入ってるんでしょ?そういうの知ってた方がいーよ?」
「はは、堪忍」
そう笑う蔵は並んでいた足を少し早め前を歩く
「....ちょっと」
「ん?」
「ちょっとそういうのから逃げたかった」
「ぇ....」
「...聞きたなかった」
私はその言葉に目を瞬かせると足を止めた
「そーゆうのもあったかもしれんわ」
「蔵.....?」
先を歩く蔵の顔は今どんな表情をしているのか全く見えない
でも私にはわかる
きっと蔵はこんな時でも表情崩さずまっすぐ前をみているんだ
「なんで...」
なんでいつも蔵は―――
私はギリッと唇をかみしめると次の瞬間大声で叫んでいた