第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
「ちゃん♪アンタまた告られたんやって~?」
小春ちゃんは恋バナとか恋愛の話になるとどこから聞きつけたのか真っ先に聞いてくる
「で、また断ったん?勿体ないわ~アタシがロックオンしてた子達みんな振るやなんて!!」
「浮気か小春!!!」
ユウくんが目くじら立てる中、私は苦笑いを返すとチラリと蔵を盗みみた
すると一瞬、蔵と目が合った気がした
(今、蔵も見てた?..いや気のせいかな)
夏休み前ともなるといかに休みを有意義に使いたい人が増えるかといったところで、彼女や彼氏を作ろうと至る所でそういう話を聞く
テニス部も例外ではなく、特にや白石は毎日のように対応に追われていた
「あ~ナニナニ?ちゃんたら蔵りん見つめちゃって..ラーブ?」
「なっ!?」
「いや~ん❤美男美女❤❤付き合うたらえーのに♪」
「こ、小春ちゃん...」
勝手に騒ぐ小春ちゃんを宥めながら蔵を見るとこっちを見つめている
(聞こえちゃってるし..)
「やって、どうする?」
蔵は口の端を上げると私に尋ねてくる
私は冗談と分かっているのにドキドキしていた
(うわ..ズルい//イケメンがそんなコト言ったらさぁ..)
私が何て返そうか考えていると大きな声が部室に響き渡った
「そんなのアカン!!!」
「.....謙也?」
その声の主は謙也で謙也はシンとなった状況にハッとすると
慌てて立ち上がった
「いや、と白石がどうこうとかやなくてっ
大会前やしもっとテニスに集中せんと...」
「謙也さん、ついに冗談も通じんようになりましたか」
「冗談...せや!!冗談やんな?は、ははっ」
「謙也きゅんボケ殺しせんとってーな」
ワイワイ盛り上げる皆を見て私はホッと胸を撫で下ろしていた
私はさっきの質問にどう返した方がよかったんだろう
ボケツッコミって難しい
でもこれがボケでもなかったら?
私はなんと答えたんだろう―――
白石はと謙也を交互に見やるとポツリと呟いた
「......まさかな」