第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
「ーーーーーー!!!」
部室のドアが大きく開かれ自分の名前が呼ばれたかと思うと腰のあたりに重みを感じた
そんなコトをしてくるのは一人しかいない
「金ちゃんお疲れ様❤」
1年の遠山金太郎、金ちゃんはいつも私の姿を見つけると抱きついてくる
一人っ子の私には弟ができたみたいで懐いてくれるのが嬉しかった
「ワイなっ今日謙也に勝ったでー!!」
「ホント?金ちゃんやるー♪すごいね」
「せやろ!?なーとも試合したいー」
「うーん..いつかね?」
「いややーと試合したいー今したいー!!」
「金ちゃんワガママ言うたらあかんで困っとるやん」
「謙也!お疲れ様♪」
ゾロゾロとレギュラーが部室に帰ってきて私は皆が着替えるのを待つ為に外に出ようとするが金ちゃんが離してくれない
「金ちゃん~」
「いややー試合~!!」
さすがに困ってきていると、遅れて入ってきた白石君が眉をひそめて近づいてきた
「金ちゃん、ええ加減にしいや?金ちゃんが離さへんと出られへんやん」
いくらいっても離れようとしない金ちゃんに白石君は包帯を巻いた左手を突き出した
「金太郎、そんなに聞き分けないなら毒手出すしかないな..」
「毒手!?」
金ちゃんは青ざめるとすぐに私から離れ千歳の後ろに隠れてしまった
金ちゃんは白石君の包帯の下には触れたものは必ず死ぬという毒手ならぬものが隠されていると思い込んでいて、金ちゃん用の鎮静剤になっている
「白石~あんま金ちゃんイジメたら可哀そかよー?」
「千歳..お前は何を見とったんや..」
ニコニコして金ちゃんを撫でる千歳の後ろで味方をつけたとばかりに金ちゃんが身を乗り出す
「なんや白石ーー!!ワイのがと仲がええからって妬くなやッ!!!」
「は?あんな金ちゃん、どないしたらそんな話になんねん」
「ワイのが白石より出会ったの遅いけどワイのが❤金ちゃんの仲や!!白石はサンやん!!」
「いや、金ちゃんが仲いいのはええけども呼び方なんて..」
「じゃーナンでサンなん?かて白石君やん!!」
「金ちゃん..別に苗字で呼んでるからって仲悪いとかじゃなくって..ねぇ白石く―――」