第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
はさずがは経験者というだけでなく、
スコアや部誌などの書類も完璧で...
なにより部員への気遣いやフォローは目を見張るもんがあった
がマネージャーになって、ある程度経った
俺の呼び方はさんからになっていた
「ふぅ....!!」
私は片付ける為に大量にボールの入ったカゴに向かった
女の私には少し大変な重さだったが持てない重さでもなく
少し気合を入れて持ち上げた時、遠くから白石君の声がした
「ー!!」
「は~い、何~?」
「悪いけど先にこっち片してくれへんか?」
白石君は後ろを指さしながら私に向かってくる
その方を見ると、バインダーが何枚か転がっていた
「分かった」
「頼んだわ」
白石君は笑みを浮かべると皆に指示を出していく
私は頼まれたバインダーを集めて振り返ると、
部室に向かう白石君の姿が見えた
その手にはさっき私が持とうとしていたカゴがあって
(あ、まただ..)
こういうコトは何度もあった
私が重いものを持ってたり大変な作業をしてたりすると
こうやって代わってくれる
しかもごく自然にさりげなく
「本当にイイ人...」
そしてお礼を言っても何が?ってしらばっくれるんだよね
私はバインダーを握りしめると白石君を追いかけた
「白石君、ありがとう❤」
「ん?何が?おーバインダーありがとー」
(ほらね、やっぱり)
私はフフッと笑うと白石君の肩に小さくタックルした
「なんやー?急に笑ったりして」
「別に~♪」
私はこんな優しさと関係がすごく好きだった
白石君は2年から部長を任されているだけあって締めるトコは
ちゃんと締めるし、部員から絶対の信頼があった
でも基本はとても優しくて..
完璧主義、周りからそう呼ばれているのも納得だと思った
だから私は表の白石君しか知らなかった―――