第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
「あら~姫サンかわゆいわね~ローックオン❤」
「浮気かっ小春ッッ!!」
坊主の男の子が顔を出したかと思ったら続々と部員が集まってきて忍足君はハア~ッと大きなため息をついていた
「...いや、浮気ちゃうやろ、相手女やし」
「浮気やろ」
男が好きな小春は女は対象外、そう思って否定をしたら
ユウジから正論なツッコミが返ってきた
「せやな」
そんなやりとりの中、サンは小春と楽しそうに話とる
こんなオネエしゃべりの老け顔にもサンは至って普通に話とった
「ほんならチャンは蔵りんの忘れモンを届けに来てくれたってわけやね~?」
「そう、小春ちゃん渡してくれる?」
私がポケットから携帯を取り出そうとした時、知った声がきこえてきた
「お前ら何してんねん」
「白石君!!」
私はユニフォームに着替えてラケットを担いだ白石君に思わず手を振った
「さん?」
小走りで近寄ってきた白石君に私は携帯をかかげてみせた
「あれ?俺の..なんや落としてしまったんか、わざわざ届けてくれたん?」
「無いと困るでしょ?早い方がいいと思って」
「ありがとー、助かったわ」
俺はフェンスのスキマから携帯を受け取る
その様子を謙也達が食い入るように見ていて眉をひそめ
そちらを見やった
「お前らサボってへんでちゃんと練習せぇ!...無駄多いで?」
その声に皆、ブツブツ言いながらも練習を再開した
「ごめんなー?アイツらやかましかったやろ?」
「ううん、皆面白くて楽しい...部長なんだ?」
「ん?そうやで、アイツら自由やからまとめんの大変やねん」
そう言いながらコートを眺める白石君の目はとても優しそうで
(信頼してるんだ..)
「....仲いいんだね」
私は何度か見てきた練習を思い出した
常に笑いの絶えない皆は本当に仲がよくみえたし
女ながらに羨ましくも思えた
(ボールや動きばっかり追ってたから白石君達みても初めましてだったけど..)
話してみたらやっぱり皆いい人で
私は暫く練習風景を見つめていた
それを校舎から頬杖をつきながら顧問の渡邊オサムは
笑みを浮かべて眺めていた――――