第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
テニスコートにはたくさんの部員がいて白石君を探すのは少し大変そうだ
一時探していたが、それより練習風景の方が気になり私はフェンスに手をかけてそれを見つめていた
(やっぱり好きだなぁ...)
ここにはテニス部は男子しかないとさっき教えてもらい少し落胆していた
まぁ、あっても3年の残り少ない時期に入る予定もなかったが、ないと聞くと少し寂しいものがあった
レギュラーだろうか、楽しそうにボールを打つ姿は本当にテニスが好きなんだろうと見ていて私の顔から自然と笑みが綻んだ
そうしてどれくらい見ていただろうか、私は自分に近づいてくる人影に気付かなかった
「サン?」
声をした方をみるとユニフォームを着た金髪の子がタオルで汗を拭きながら立っていた
「やっぱり!サンやんなぁ?練習見にきたん?
それとも誰かに用事か?」
(この人は確か..)
私はその姿に見覚えがあったし、さっき白石君に教えてもらった名前を思い出した
「あっ白石にちゃんと案内してもらえたか?アイツ失礼なコトせんかった?」
さっきからたくさんの質問..
私は思わずクスリと笑ってしまった
(なんだかお母さんみたい...)
「..んーん、大丈夫だよ?」
私はおかしくなりクスクス笑いながら答えると、彼は首をかしげながら少し顔を赤らめた
(なんや、笑うと可愛エな)
「オレなんかヘンなコト言うたか?あってかオレのコト分かる?同じクラスなんやけど..」
またいっぱい聞いてる..
今度は困ったように聞いてくる彼に私は笑顔で頷いた
「うん、忍足..謙也君」
謙也は自分の名前を知っていてくれたことに安堵したと共に
自分の名前を聞いた瞬間に心臓がドキリと音をたてた
(うわ...///)
「そ、そか、良かったわ///」
「うん、白石君にきいた」
「あ、そう..」
白石か、ちょっと考えればわかるのにちょっと舞い上がってしまった自分に少し恥ずかしくなった
「忍足君、白石君いるかな?」
「白石?アイツなら..」
ごまかすように頭をガシガシかいているとサンから話かけられた
「蔵りんなら部室で着替えてるはずやけど~?」
「げ、小春..」