第6章 ~ZAIZEN HIKARU~
委員会が終わり、オレは欠伸をする
(気づかんうちにウトウトしてもうた...)
ボケーとしてると彼女が顔を覗いてきた
「眠そうね」
「ん...なんか大事なこと言うてました?」
「んーん、特には」
「ども...」
そういうとオレは立ち上がる、だが彼女は座ったままだ
「...帰らんのですか?」
「あの、聞きたいことあるんだけど...」
「?」
声の小さい彼女にオレは疑問符が浮かぶ
「財前くんって...私のコト嫌いなのかなぁ」
「.........は?」
オレはその言葉に驚くも表情は変えない
「私の考え過ぎだったらいいんだけど...話しかけてもあんまし話してくれないし、目も合わさないから...」
「...考え過ぎとちゃいます?」
「ごめん...変なコト言っちゃったね」
彼女はハハッと力なく笑うと立ち上がった
「今の忘れて、本当にゴメン――――!?」
その場を立ち去ろうと踵を返した彼女の腕をオレは咄嗟に掴んだ
「...財前くん?」
「よく分からんけど...何か思うコトがあったから聞いてきたんでしょ?だから...ちゃんと聞くんで...」
彼女は困ったように目を彷徨わせると睫毛を伏せる
オレに腕を掴まれているのを観念したのかポツリと話し始めた
「だって...財前くん、一度も名前呼んでくれたことないから」
「....あ?」
そういえば...
彼女の名前を一度も呼んだことなかった...か?
オレはしばし考えると、はぁ、と深く溜息をついた
それに対し、彼女の体が少し強張った気がした
「なら...何て呼んでほしいです?」
「え...」
「ちゃんと呼ぶんで...」
彼女はチラとこちらを覗うとまた顔を伏せる
「...」
「は?呼び捨てでエエの?」
「ん...って呼んでほしい」
「......」
そう言うと、は嬉しそうに目を細めた
(こんだけで嬉しいんかいな...よく分からん)
分からん
そう思いつつも、を悲しませすにすんだコトだけはほっとした
(先輩達にやーやー言われても適わんしな)