第6章 ~ZAIZEN HIKARU~
部活の途中、抜けて近くの水道で顔を洗い、手探りで置いておいたタオルを探す
するとふいに手の中にタオルが置かれ、オレは片目でそちらを覗いた
(ぁ.....)
そこにいたのは朝の彼女、オレにタオルを渡したのも彼女だ
「どうも...」
オレは受け取ると顔を拭いた
何で彼女がこんなトコにおんのか
しかもオレに用があるのかその場から動かない
「あの、何か?」
「急にゴメンなさい、ずっとあなたを探してたの」
「?」
オレが眉を潜めていると、彼女はポケットから何かを取りだしオレの前に差し出した
「あ」
それはオレが探していたピアス
彼女はニコニコしながら手渡してきた
「その様子だとそれで合ってたみたいね、良かった♪」
「...あれから探してたんすか?」
「すぐ見つかったから」
「すんません」
「いいよ別に、だって五輪は揃ってなきゃ」
彼女はオレの耳を指差す
「オセアニアってなんだろうと思ったら色だったのね~」
そういいながら笑う彼女に、いつの間にかオレの寄せていた眉の溝は薄くなっていた
「ねぇ、あなた何年生?」
「あ、2年です」
「そっか、私3年!偶然見つかって良かった..さすがに2年の教室覗くわけにはいかないし」
「それは...どうも」
「ねぇ、あなたって―――」
「そんなとこおったんかー!!!」
そこまで話した途端に校舎から野太い声が響いてきた
見ると熊のような先生が眉を上げて怒っているのが見える
「コラー!!反省文の途中で何おらんくなってんねや!!
さっさと戻ってこんかいっっ!!!」
「はーい」
気にする様子もなく返事をした彼女はオレに手を振ると、先生の元へ駆けて行った
「...初日から遅刻しよってまたこれか...なんの為の反省文か分かってんのか?」
「ごめんなさーい」
そんな会話が遠くから聞こえオレはバッと振り返った
「すぐってなんや...ウソやんけ」
それに....
?