第5章 ~CHITOSE SENRI~
千歳の表情は読み取れない
ただ淡々と話していた
「白石ならの傍、ずっと離れずにいてくれっとよ」
「な...」
「謙也くんならが悲しむようなこと絶対しよらん」
千歳?
「ふらふらどっかにいったりせん、幸せにしてくれっとよ...財前なら――――」
「ちょ、ちょっと待って!!急に何を言いだすかと思ったら...千歳、私は...」
そこまで言うと私は言葉を紡ぐことが出来なくなった
冗談かと思ったその言葉は本当で
千歳の瞳の奥には悲しみが宿っていた
(何でそんな泣きそうな顔...)
あぁ、そうだ
千歳も私のことを好きなんだ
だから誰よりも敏感で、蔵達の思いも誰よりも解っていて
それなのに私は千歳を解ったふうでいた
私は何も解ってなかった
初めて想いを伝えてくれた時から千歳は不安で仕方なかったんだ
不安で、怖くて、寂しくて
なのに私に悟られないように笑っていてくれた
(あぁ...私は)
とんでもないことをした