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四天恋物語★テニスの王子様

第5章 ~CHITOSE SENRI~


私は千歳に近づくと、千歳のシャツを両手で握りしめた

「蔵達のことは好きじゃない...私は、」

手に力がこもる

「今、千歳といることが私にとっての幸せ...だから...」

違う

「それでいいでしょ?」

違う
違う

「それで...じゅうぶんでしょ...?」

そうじゃない
そんな事が言いたいんじゃないのに

私は眉を潜めギュッと目を閉じると顔を俯かせた
するとふわ、と温かさが伝わり抱きしめられているんだと気付いた

「.......うん、そいでじゅうぶんたい」

「......っ!!!」

「好いとうよ......」

千歳の体が徐々に下がってくる

「ねぇ...こぎゃん好いとうのに......」

崩れていく千歳が私と目線が同じに来たとき、私の目に涙が溢れた

千歳が泣いていた
ポロポロと何筋も流して

今までに一度も泣かなかった千歳が目の前で泣いている
私は自分のしたことに後悔し、涙が止まらない

(最低だ...私...)

「....ごめんね...」

「――――――っ!!!」

その言葉に一筋涙を流すと千歳の頬に手を添え、そっとキスをした

初めて自分からした
どうしてもしたくなったから

千歳は目を丸くして驚いていたが、そのまま受け入れてくれた

暫くしてゆっくりと唇を離すとお互いの吐息が触れ、胸が締め付けられた



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