第5章 ~CHITOSE SENRI~
「....何で?」
「なんか...勘?やっぱりなんかおかしい気がするから」
先程とは打って変わって真剣な顔のにオレは目を丸くする
「...何もなかよ?後で白石に謝らんといかんね~って思ってたくらい」
「そう?それならいいんだけど...でも」
はオレの手を掴むとギュッと握りしめた
「なんか...悲しそうな目、してたから」
「......っ!!!」
その言葉にオレはバッと視線を逸らした
このままを見ていたら全てを見透かされそうで
「千歳?」
の優しい声色にギュッ目を瞑る
そして無意識に手を握り返していた
「...何で...何で分かると?」
か細く呟かれた声をしっかりと聞き取り、は答えを返した
「だって...千歳だもん、分かるよそれくらい」
その言葉に千歳は視線を戻した
瞳は危うく揺れていて、眉をひそめる千歳の表情を和らげるようには柔らかな笑みを浮かべた
「オレの左目...あんま見えんと」
「ぇ...」
予想外の答えには驚きを隠せない
「前の学校で部活の練習中に球が当たって...まぁオサムちゃんや皆も知ってるコトっちゃけどね、でも皆は徐々に回復しよるって思っとう」
「それって...」
「うん、最近言われたっちゃけど...戻っとらんと、むしろ悪くなっとるって」
はは、と力なく笑う千歳に返す言葉が見つからない
そんな私を気遣ってか千歳は空いてる方の手で私を撫でた
「そんな顔せんでいいと、右はちゃんと見えるけん」
「でも...」
「相手もそんな顔しとった、でも恨んだり嫌いなったりせんとよ?今でも連絡取るし...でも」
千歳はくしゃ、と髪を撫でるとニコッと笑った
「少しだけ...怖か」