第5章 ~CHITOSE SENRI~
「千歳!?」
私が千歳の後を追いかけようとすると、グイッと腕をひかれ止められる
「蔵...」
「追いかけんでええ、少しアイツは頭冷やさんと」
「でも...」
「、目はもう平気なん?」
「あ、うん...」
「なら良かった、じゃあ部活始めんで」
何事もなかったかのように話す蔵は大人だと思う
でもそれ以上に大人だと思っていた千歳のあんな態度...
「やっぱり気になる...ごめん」
私は蔵の静止も聞かず千歳を追いかけて行った
「あーあ、行ってもうたな...」
白石は小さく溜息をつくとラケットを抱え部室を出て行った
アイツは何を勘違いしたんやろうな
に顔近づけとっただけでキスでもしとったとでも思ったんやろうか?
(千歳のあんな目...初めてみたわ)
でも...黙ってられへんな
まぁ黙ってへんかったから余計に千歳イラつかせたんやけど
を好きなんは何も自分だけやあらへんねから
(むしろあんな風に出せるオマエが羨ましいわ...)
白石はもう一度だけ息を吐くと、切り替えるように集まっている皆に指示を出していった
私が千歳を探し始めてからどれくらいたったのだろうか
いつもの裏庭にも姿はなく、途方に暮れていた
(もう帰っちゃったのかな...)
私は深く溜息をつくと、おもむろに校舎の方を見つめた
「あっ、もしかして...」
私はまだ探していなかった場所へと足を向け、校舎へと入っていった