第5章 ~CHITOSE SENRI~
それから暫くして、私は皆が部活に勤しんでいる中、千歳を探していた
それは少し前のこと...
「いたっ!」
「どないしたん?」
「ん、なんか目に入った...」
部室で部活の準備をしていると、急に目に痛みが走り、私は目を押さえた
「大丈夫か?痛む?」
蔵が心配して私を覗きこむ
私は涙目になりながらも大丈夫と笑顔を作った
「ホンマに?涙目になっとるやん...」
蔵は私の両頬に手を添えると上を向かせる
「ちょ、見してみ...」
さらに蔵の顔が近くなり、少し驚くも蔵の顔は真剣で
私は大人しくしていると部室のドアが開き、入ってきた人物の動きが止まった
蔵の手が外されたことで動けるようになった私は、その人物を覗ってみると、そこには千歳の姿
「おー千歳、今日は真面目に来たんやな、エライで」
蔵が千歳に触れようとすると、それを拒むかのように千歳の体が後退した
「そう言って白石いつも叩くけんね~その手に乗らんばい」
「(あれ?)...お、おお...でもそんなんちゃうかったのに」
普通に笑みを浮かべているのに千歳の微妙な表情を感じ取った蔵もまた笑みを浮かべ返した
「そやったと?白石んコトやけんね...もう反射的と」
「オマエが真面目に部活に顔出せばオレもやんや言わんで」
「顔は出しとるよ」
「....なんや今日は反抗的やな」
「ちょ、ちょっと2人共!!」
私は不穏な空気を感じ取り声をかけるも2人は聞こえてないのか見つめ合ったままだ
2人の感情は読み取れないが、表情はとても冷めていて私はオロオロするばかりだった
「どないしてん千歳、何が気にいらんの?」
「.......」
黙ったままの千歳に少し詰め寄ると、白石はに聞こえない声で呟いた
「そんなにが他の男に触れられるんがイヤか」
「――――――!!!」
千歳が蔵を掴もうとした時、私は咄嗟に駆け寄り千歳の腕にしがみついた
「あ、あの...もうやめよう?」
眉を下げる私をみると、2人は漸く離れた
「...」
「.....」
千歳はそっと私の手を解くと黙ったまま部室を出て行った