第5章 ~CHITOSE SENRI~
「あー千歳オマエっっ!!」
入ってきて早々、蔵が千歳を怒鳴りつける
「またどこほっつき歩いててん!!もう練習終わってもうたやないか!!!」
「えーもうそんな時間と?」
「オマエなぁ...」
先程の表情とは打って変わって、いつもの顔に戻っている千歳はさすがと言ったところで
私は誰かに気付かれてしまうんじゃないかと冷や冷やして、理由をつけて部室を出た
そんな様子を千歳が笑みを浮かべて見ていたなんて気付かずに...
「はぁ...聞くんじゃなかった」
私は深い溜息をついてその場にしゃがみ込んだ
勝手にモヤモヤして
私だけ言われてないとか騒いで
結果、ちゃんと言っててくれたわけで...
(本当にバカみたい...)
千歳は優しいからだけって言い方してくれたけど...
本当に?
もし本当にそう思ってくれてるんだとしたらあの言い方は―――
私は首を振ると立ち上がった
「いや、きっと違う...」
また私の勘違いだ
私を不安にさせないように言ってくれた
それだけだ