第5章 ~CHITOSE SENRI~
「....千歳?」
私は戸惑いながら千歳を見つめていると、千歳は肩を震わせながら俯いている
怒ってる
そう思った私は慌てて視線を泳がせた
「ごめんなさいッ!!千歳を困らせたかった訳じゃないの...千歳?」
フルフル震えてた千歳を覗くと顔は思い切り笑っていて
私は訳が分からず困惑していると、千歳は声を上げて笑い出した
「あーもう...はほなこつかわいかー♪」
「?」
「あーお腹痛か...」
ひとしきり笑った千歳は私を見つめると、空いてる方の手で頭を優しく撫でた
「そぎゃんこと考えとったと?」
「だって...皆何度も言われるって言ってたし...」
「....ちゃんとにも言っとったとよ?」
「え?ウソ...」
「〝むぞらしい”...覚えあるとや?」
確かに、皆が可愛いと言われてる中、私は話の中でよく「むぞらしか」という言葉を耳にしていた
「あれって難しいって意味じゃなかったの?」
「そげん思とったと?〝むぞらしい”ってのは可愛いって意味と」
「そうなんだ...」
そう思うとなんだか急に恥ずかしくなってきた
可愛いってずっと言われてたなんて...
「....、気付いてなか?」
「ぇ...?」
「むぞらしかって...にしか使ってなかとよ?」
「?」
私はその言葉に心臓が速くなっていくのを感じながらも首を傾げた
「オレがむぞらしかって使う時は、たいぎゃ..本当に可愛いって思う時にしか出らんと」
千歳の低く少し甘ったるいような声に私の顔は一気に紅潮した