第5章 ~CHITOSE SENRI~
「ねぇっ!この間のどうなったの?」
「この間?」
「あの、小春の...追いかけたって...」
ああ、と思い出した千歳は手を止めると机に腰かけた
「小春はかわいかよ~って何度も言って許してもらった」
「そうなんだ...」
って私は何を聞いてるんだろう
もう終わっちゃったし...
でも、今なら聞ける?
そんなに気にしてはいなかったつもりだが、きっかけがあると気になってきて
「あの...聞きたいコトあるんだけど...」
「なんね?」
「えと、そんな深く考えないでもらいたいんだけど...
千歳って...カワイイっていうのは選んでいってる?」
「そうやね~...本当にかわいかーって思う時に言っとるつもりやけんそうかもしれんばいね、それがどうかしたと?」
「そ、そうなんだ...」
実際に聞くとなんかヘコむかも
あ、でも男の子限定とか?
いや、学食のおばちゃんにも言ってた気がする
「?どげんしたと?顔怖くなっとるばい?」
「え?いや...ごめん、変な事聞いて」
私はこの話を終わりにしようと部誌を片付けて椅子から立ち上がると、咄嗟に手を掴まれビクッとする
「変な事やなかよ、だからちゃんと聞くばい?」
見ると千歳は優しそうな表情を浮かべていて、私はきゅ、と胸が締め付けられた
「あ、あのね...そういえば私...千歳に、その、言われたコトないかもって...思ったりして」
私は緊張からか無意識に千歳の手をそっと握りしめた
「別に言ってほしいとか、カワイイと思ってほしいとかじゃないんだけど...気になっちゃって...それで...」
どんどん声が小さくなる私を見つめていた千歳は、私の手を握り返す
そこで私は千歳の手を握りしめてることに気が付き離そうとする
でもそれは叶わず、千歳の手により力がこめられ私は動きを止めた