第5章 ~CHITOSE SENRI~
数日たったある日、私が部誌を書いていると遅れてきた千歳が部室に入ってきた
「あ、千歳遅い~」
「ん...寝過ごしたばい」
まだ眠そうな千歳はあくびをしながら答えた
「あんまり遅刻してると蔵に怒られるよ?」
「ばってん天気がいかんと」
「まぁ...今日は気持ちいいもんね」
クスクス笑う私の背後にはもうユニフォームに着替えた千歳の姿
「どうかした?」
「ん?は字がキレイかと思って」
「そう...?普通だと思うけど」
「女ん子って丸かったりクセある子多かけど、のは...うん、キレイか」
あ、またあの表情...
大人っぽいその顔の方が―――
「千歳のがキレイだよ...」
「え...?」
ポツリと呟いた声は千歳に届いていて
私は自分が声に出していたことにハッとする
「あ、いや...あの...」
私はなんと言ってごまかそうか考えていると先に千歳が口を開いた
「オレそんな上手くなかよ」
「えっ?」
「絶対のが上手かもん」
そう言いながら部誌の空いてるスペースに適当な字を書いている
(あ、そっち...)
私は千歳が勘違いをしてくれた事に内心ほっとする
すると急に千歳が振り向き目が合う
「.....!!」
急に合わされた視線にドキッとする
千歳は何も言わない
(なんで黙ってるの...?)
私は何か話さないとと思い、頭の中を巡らすもいいのが思いつかない
咄嗟に口走ったのは思ってもないことだった