第5章 ~CHITOSE SENRI~
「キレイか...」
私は目を丸くすると、慌てて千歳の指から髪の毛を外させた
「なっ...急にナニするの!?」
「え?何って?」
千歳は解ってないのかキョトンとした表情を見せる
(無自覚なのかな...)
そういえば前にもこんなコトがあった気がする
千歳に急に引っ張られて顔がすごく近くて...
は思い出すと少し胸が高鳴った
あの時といい今のコトといい、こういう時の千歳の顔は
大人びた顔になってる気がする
背だってあるし他の中学生に比べたら随分大人びた顔つきだと思うが、普段のふわふわした性格もあいまって、むしろ可愛いとさえ思っている
だけど...
ふいに見せるあの顔は
少しだけ好きだ
ふと千歳と目が合った私は気恥ずかしさから睫毛を伏せる
すると上からふ、と千歳の息が聞こえてきて
「むぞらしかね...」
「え?(むぞ...何?)」
私は意味が解らず聞き返そうとしたが、千歳があまりにも綺麗に笑うからそのまま言葉をつぐんだ
やっぱり....
この顔は好きだ