第3章 ~SHIRAISHI KURANOSUKE~
「さん、ちょっとええか?」
帰る支度をしていた私はその声に顔を上げるとそこには左手に包帯をした男の子が立っている
「(確か隣の席の...)はい?」
私は先程の自己紹介の時の事を思い出しながら向き直った
「オサムちゃん..センセに校内を案内するように頼まれたんやけど...さん時間あるか?」
色素の薄い髪を揺らし微笑む彼に私はコクリと頷き笑みを返した
初日でまだ勝手の分からない私にとって有難いお誘いだった為、すごく嬉しかった
彼は私の反応に良かったとだけ言うと、また少し微笑んだ
(綺麗に笑うなぁ...)
そんな事を思いながら私は彼に付いて行った
―――――――――
歩きながら私はチラリと彼を見る
整った顔立ちは女の私でも綺麗と思うほどだ
(モテるんだろうなー、ていうかイイ人..案内なんてめんどいはずなのに嫌な顔見せないし――)
「ぁ...」
私はハッとすると彼の前に立った
彼は私の行動に足を止めた
「さん?」
「名前!!私貴方の名前聞いてない..あっごめんね、私です」
彼は目を丸くするとハハッと笑った
「あーせやったなぁ、すっかり忘れてたわ!!また自己紹介させてもうたな?」
彼はいかんいかんと手を頭に当てながら笑っている
「...だって直接あいさつしたいじゃない」
「...せやな」
彼は笑うのを止めると手を差し出してくる
「俺は白石蔵之介や、ヨロシクな?さん?」
「...よろしく、白石君」
私は差し出された白い布に巻かれた手を握り返した