第5章 ~CHITOSE SENRI~
一瞬にして静まりかえったコートに顧問の渡邊オサムが近づいてくる
「センセ...珍しいですね、普段はめったに来んのに」
「なんや白石、オレが来たらオカシイとでも言うんか?」
「いや別に...でも何も今来んでも...」
ブツブツと言う白石をよそにオサムはの前にやってくる
「オサムちゃん...」
「んで?何でがココにおんねん、しかも制服んままやし...」
「ごっごめんなさい私―――」
その言葉を遮るように千歳がを隠すようにオサムの前に出る
「オサムちゃん、は悪くなかと、オレが誘ったとよ」
「千歳が?」
「うん、どうしてもとテニスしてみたかったと」
「千歳...」
私は庇われながらも千歳の優しさに苦しくなった
結果誰よりも楽しんでいたのは自分だし、最終的に決断したのは自分だ
「先生、悪いのは私です!勝手にコートに入ってごめんなさい」
「が謝るコトなか!オレが強引に誘ったっちゃけん」
「どーもラチあかんな...白石は?」
「オレは...部長として間違った判断はしてへんつもりです」
オサムが周りを見渡すと皆もこぞって頷いている
オサムはフウと息を吐くとを見た
「こないに騎士がおると...大変やな?」
「え?(今、って...)」
「テニス好きか?」
「――――!!好きっ!!!」
その言葉にオサムはふっと口端をあげると、の頭をポンと叩いた