第5章 ~CHITOSE SENRI~
はクラスへの自己紹介や、始業式などの決まりごとを済ませると、学校内を散策していた
そして校舎の外れの方へやってくると思わず口元を緩ませた
そこには小さいながらも緑が生い茂っていて、一面に芝生が広がっていた
「わぁ...なんか素敵」
芝生に触れてみると太陽に当てられたせいかフカフカしていてとても気持ちよさそうだ
(ここでお昼寝とかしたら気持ちいいだろうな)
そんなことを思っていると、奥の木の陰に人の足が見える
疑問に思いながら近づいていくと、その人物に思わず声を漏らした
「ぁ...」
長身にクセのある髪、朝、職員室で見た彼が気持ちよさそうに寝息をたてている
(確か..千歳くん)
私はしゃがんでその顔を確認すると、その整った顔つきにそのまま見つめ続けてしまった
(睫毛、長い...ていうか本当に気持ちよさそう)
温かい日差しに少し頭がぼーっとしてきた時、ふいに腕を引っ張られ体制が崩れた私はビックリして思考を戻す
気が付くと引っ張られたせいで私の顔は彼のすぐ目の前にあって、私が押し倒したような格好になっていた
寝ていたはずの彼は目を開けていて、少し口角の上がった彼の顔がしっかりと私を見上げていた
「...まさか女ん子に寝込み襲われるなんて思ってなかったばい」
「え?...違..」
私は咄嗟に離れようとするも腕をしっかりと掴まれて動けない
「あの...離して?」
「ん?なして?」
「だって私、アナタを襲おうとしてないし...」
「ならなしてオレんこつ見よったと?」
「起きてたの?」
「いや、でもあんだけ熱く見られとったら気付くもん」
「それは....」
は少し頬を染めると視線を逸らす
「綺麗だと思ったから」
「キレイ?」
「そう、男の子に言うのはアレかもしれないけど...すごく綺麗に見えたから」
伏せた睫毛がより扇情的に見え、千歳はふっと息を漏らした
「....ありがとね」