第4章 ~OSHITARI KENYA~
白石が屋上に上がると、は膝を抱えるようにしてフェンスに凭れていた
「こんなトコにおった」
白石は努めて明るく振る舞い、の隣に腰かけた
「気にせんでええて、どーせ茶化されて思わず言ってしもただけやろうし」
「うん....」
「.....ショックやった?」
白石の問いかけにはふるふると頭を振ると俯いた
「私ね、ズルい...」
「ズルい?」
「謙也が私のコトで照れたり笑ったりしてくれるのを楽しんでる自分がいて、今までに何度もからかったりしてた」
「でもそれはバカにしたヤツとはちゃうやろ?」
「うん...でも自分がこうしてほしいっていうのが手に取るように分かったから何度も繰り返したりして...」
「あー、アイツは単純やから」
「それで欲しいままに言葉を手に入れて、一人で盛り上がってた...でも実際はそうじゃなかったんだなーって」
は顔を上げると困ったように笑った
「自分が言うんじゃなくて言って欲しかったみたい、今まで謙也に言ったこと全部...なのにさっきの言葉に勝手に落ちたりして...」
本心じゃないって分かってるはずなのに
〝好きじゃない”謙也の口から発せられた言葉に傷ついてる自分がいる
本当に自分勝手で自分よがりだ
自分は反応を見て楽しんでたっていうのに...
「ホント、サイテー...」
「......なら、オレにしとく?」
「え....?」
白石はの頬に手を添えるとそっと顔を寄せた
だが柔らかい感触とは違う感触に白石は眉をしかめた
「.....~?」
「ご、ごめん..だって...」
と白石の唇の間には先程のプリントが挟んであって、直接触れることはなかった
「あんなー、いくらなんでもプリントはないやろ」
「だっていきなり蔵がしてくるから...」
「はーぁ、折角慰めたろ思たのに...」
白石は溜息をついて空を仰いだ
「...でも本気な話、謙也やなくてオレにしとかへん?
謙也よりガキやないしヘタレやないし...エエ男や思うけど」
「......私は、謙也のその子供っぽい所や不器用な所も含めて...大好きだから」
白石はその言葉を聞くとふっと笑みを見せた