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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第10章 【underground】


「あんなのってあり!?あれじゃまるで僕が望んでネビルに失敗させたみたいじゃないか!」

 魔法薬学が終わり、約束どおりハグリッドの家へ向かい途中、ハリーは溜まりに溜まった不満をぶちまけた。

「その上2点も減点して。いったい僕が何をしたって言うんだよ!」
「気にするなハリー、単なるひがみだ」
「ひがみ?」
「そう、ハリーが『ハリー・ポッター』だからひがんでいるんだ。器が小さいから、他人の才能や能力を認めることが出来ない。ま、そんな奴らの中傷なんて気にする価値はないよ」

 現にスネイプは、ハリーに『スター』だの『英雄』だのといった言葉を使っていた。他にも僻んだり、妬んだりはしないものの、『ハリー・ポッター』を見ようと多くの生徒が廊下でハリーとすれ違うたびに横目で盗み見たりしている。本人からしてみれば理不尽な扱いかもしれないが、それが有名人故のさだめだ。

「ひがみ……ちょっと違う気がするな、むしろ僕を憎んでる。2人には言わなかったけど、歓迎会の日にスネイプ先生と目があったんだ。凄い目つきで僕の事を睨んでたよ」
「強い嫉妬は強い憎悪を生む。そういう事だよ」

 ハリーはまだ納得のいかないような表情をしていたが、ちょうどそこでハグリッドの家に着いたので、この話しはそこで打ち切られた。

 ハグリッドの家は禁じられた森のすぐ傍にあり、ハグリッドの体の大きさとは比例せず意外とこぢんまりとしていて、家というよりも山小屋と言った方が正しい建物だ。ハリーが扉をノックすると、勢い良く扉が開き、1匹の大型犬が飛び出してきた。

「こらっ、やめねぇかファング!おおっ、お前ぇさん達よく来たなあ」

 ファングと呼ばれた犬の後から、ハグリッドが姿を現した。ファングは飼い主に似て図体はデカイし真っ黒で恐ろしい風貌だったが、千切れんばかりに尻尾を振り、3人の子供達の顔をベロンベロンなめまわすという性格は、至って普通の犬と変わらなかった。

「さ、入ってくれ。紅茶とお菓子も用意してあるからよ」

 ハグリッドの小屋の中は色々な物が壁や天井にぶら下がり、どれもこれもが通常の物より2回りほど大きかった。テーブルも高すぎてクッションをいくつか重ねないと丁度いい高さにならなかったし、紅茶のカップもボウルくらいの大きさで、ごつごつしたロックケーキはクリスの手ほども大きかった。
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