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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第9章 【予想外】


「朝ごはん食べないの?コーンフレークだけでも食べた方がいいよ」
「……あぁ」
「そうだ、クリスが来る前に時間割表が配られたんだよ。はい、これ君の分」
「……あぁ」
「………クリス?」

 そこでやっとクリスの様子がおかしい事に気が付いた。返事はするものの、プリントを目の前に差し出しても受け取ろうともせず、カップの底を眺め続けている。いくら機嫌が悪いといってもその原因はハリー達にあるのではないのだから、こうも無視し続けるのは変だ。
 ふと、あることに気づいたハリーは、試しに本人に問いかけてみた。

「クリス、起きてる?」
「……あぁ」
「嘘だ、本当は寝てるんでしょ?」
「……あぁ」

 予想通りの結果に、ハリーは思わず肩の力が抜けるのを感じ、ロンは呆れたように頬杖を付いていた肘をずり下げた。 何のことは無い、彼女の意識はまだ夢の中なのだ。そういえばコンパートメントでも、起こすのに一苦労させられたのだった。

「クリス、起きて!!」

 パチンッ!と目の前で大きく手を叩いてやると、クリスの目が一瞬大きく見開かれ、やっとカップの底から目を離してハリーとロンの方に向けられた。自分がいつベッドを離れて大広間に来たのか覚えていないらしく、固まっていた頭と体を解きほぐすかのようにググッと背伸びをした後、2・3回辺りを見回した。

「お早うクリス、目が覚めた?」
「あれ……ここ、大広間だよな。いつの間に来たんだろう」
「さっきだよ。ほんとついさっきの事なのに全然憶えてないの?」
「朝は弱いんだ……そうだ聞いてくれ、私のルームメイトが誰だと思う?よりによってあのハーマイオニー・グレンジャーだぞ。しかも私の事を男だと勘違いしてたんだ、酷い話しだと思わないか!?」
「うん、それは聞いたよ。ところでクリス、僕達に言い忘れてる事があると思わない?」
「言い忘れている事?何だろう、グレンジャーの話はしたし――そういえば、今何時だ?まさか初日から昼まで寝坊したなんて事にはなってないよな?そんなことがチャンドラーに知れたら、吼えメールが送られてくる」
「クリスって、今まで相当自由な生活を送ってただろ?」
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