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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第1章 【深窓のご令嬢?】


「世界の偉人達の知識と思想が記された、良い本だと思うんだけどな」
「マグル達の名言集――こんなものが授業や将来の役には立ちませんぞ!!」
「真の勉学とはテストで良い点を取ったり、給料の良い仕事に就くためにするものじゃない。知識を深めるため、己の探究心を満たすため、若しくは暇をつぶす為にするものだ」

 だからこそ、古代ローマの暇人たちは哲学なんてものを発展させたんだ。と言い切ったクリスに、しもべ妖精は頭を抱えて深くため息をついた。

 クリスの母レイチェルは、クリスを出産した時に他界してしまっている。またクリスの父も仕事が忙しく、その為この屋敷しもべのチャンドラーがクリスの世話を仰せつかってきた。

 元々グレイン家と言うのは、あのホグワーツ創設者の一人として名高いサラザール・スリザリンの末裔とされており、魔法族の中でもかなり古くからある名族の一つとしてその名を馳せ、先々代前までは爵位まで賜っていた。

 しかし時と共に零落し、今では残っているものと言えば僅かな財産とこの古い屋敷、そしてそれを取り囲む森だけだ。それでもチャンドラーは家名に恥じぬ立派な人物になってもらおうと育ててきたはずなのに、どこをどう間違えたのか出来上がったのは偏屈でワガママなお嬢さまだった。

 しかもこのお嬢さまときたら、この他にも困った悪癖があり、それがいつもチャンドラーの悩みの種になっていた。

「罪を憎んで人を憎まず――だ。全ては暇で退屈極まりないこの日常が悪い」
「そんなにお暇を持て余しておいででしたら、さきほどお嬢さまが仰ってたように『勉強』でもなさったら宜しいではありませんか」
「と言ってもなあ。家にある本は大体読んだし、これといって他にやることもないし……ドラコでもからかいに――いや、こういう時こそ『ラジオ』が必要だ。そうだ『ラジオ』を買おう!そうすれば私だって昼日中から昼寝なんてしないさ。本当は『テレビジョン』が欲しいんだけど家には電気が通ってないからな。その点『ラジオ』なら電池で動――」
「いけません!そんな物!!」
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