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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第8章 【BAD END】


「むしろ、こう呼んでもらいたいですね。ニコラス・ド・ミムジー……」
「『ほとんど首なしニック?』なんで『ほとんど』なの?」

 ハリーが途中で口を挟み、なおかつ「ほとんど首なしニック」と呼んだことに、ゴーストは眉根に寄せたシワをいっそう深くすると、咳払いをして改まって襟を正した。

「それは、こういう事です」

 右手で軽く自分の耳を掴んで引っ張ると、それに従いニックの首がぐらりと揺れ、首の皮一枚のところギリギリで地面に落ちることなくぶら下がっていた。幸い半透明な体ではグロテスクな断面図が見えなかったのは良かったが、食事中に見せられ気分の良いものではない事は確かだ。

 クリス達を含め、運悪くその衝撃的瞬間を目にしてしまった生徒達は思わず悲鳴を上げて後ずさり、ニックは生意気な新入生達に一杯食わしてやった事に気を良くしたのか、得意げな顔で首を元の位置に戻した。

「さて、また明日から寮対抗杯が始まりますから、頑張って下さい。なんといっても我がグリフィンドールはもう6年間もスリザリンに優勝をかっ攫われているんですから……おかげで『血みどろ男爵』はもう有頂天ですよ。ですから是非とも、皆さんの活躍に期待しておりますぞ」

 死んでいるくせに妙に生き生きとした目でスリザリンのテーブルを見るニックの視線の先には、骸骨のように目がくぼみ、銀色の血がべっとりと付いた、見るからにおぞましいゴーストが腰掛けていた。

 そしてその隣りに座っている生徒は、なんとあのドラコだった。ドラコはすっかり畏縮して、青い顔でちびちびと皿の上の夕食を口に運んでいる。だがクリスの視線に気づくと、パッと背筋を正し、大げさな手振りで「食事の後で話がある」と伝えてきた。だが話を聞く気がないクリスは、その訴えをきっぱりと首を振って断った。

 コンパートメントでの一件をドラコはすっかり頭から消しているだろうが、クリスはまだ許してはいないのだ。もちろんドラコはその無礼な態度に腹を立てていたが、クリスは再び女の子の会話に混じる事でそれすらも無視してやった。
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