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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第8章 【BAD END】


 呆気に取られ、しばらくボーっとダンブルドアを眺めていたクリスを、横からラベンダーが声をかけてきた。

「クリス、ハリー?ボーっとしてるとロンに全部食べられちゃうわよ」
「え……あっ!?」

 驚いた事に、からっぽだったお皿の上にはいつの間にか美味しそうなご馳走が盛り付けられていた。ロンはすでに自分の皿に山ほど食べ物をのせ、口にもはち切れんばかりに食べ物を詰め込んでいる。クリスとハリーはロンに食いきられる前に急いで食べ物を皿のうえにのせた。

「ロン、知ってたなら教えてよ」
「ああひほ、はいー。はあいもろはりふぁよ」
「せめて飲み込んでから話せ、ロン。行儀が悪いぞ」
「ん、んぐ――早い者勝ちだって!」

 かぼちゃジュースで食べ物を流し込むと、ロンはまたマッシュポテトをめいっぱい口に詰め込み、ハリーもそれに負けずとガツガツとかっ込んだ。

 クリスはそんな彼らについていけず、ラベンダーとお皿に盛った料理を少しずつ味わいながら談笑を楽しむことにした。途中からパーバティという女の子も加わり、おしゃべりに一層花を咲かせながら大いに盛り上がった。このパーバティという女の子はラベンダーと同じくらいお喋り好きで、おかげでクリスは聞き役に徹する事になったが、それはそれで楽しい時間になった。

「おいしそうですねぇ、羨ましい限りです」

 夢中で食べ物を口に押し込むハリーとロンの間に、組分け前の小部屋で見たような薄透明のゴーストが、羨ましそうな目をして割り込んできた。組分け前の小部屋で声をかけてきたゴーストではなく、馬鹿でかいひだの付いた服を着た男だ。
 初めての、しかもこんなに間近で見るゴーストに、クリスもハリーも興味が湧いて顔を向けた。

「ゴーストもお腹がすくものなの?」
「いいえ、そんな事はありませんが、味は懐かしく思います。……この400年何も口にしておりませんので」
「ぼぉくっ……おっと、ごめん。――っ僕知ってるよ、君『ほとんど首なしニック』だろ」

 しみじみと語るゴーストに遠慮なく豪快にステーキをほお張るロンは、その肉のかけらをハリーのローブに飛ばしながら口を開いた。ハリーは食べかすを飛ばされた事に眉をしかめ、「ほとんど首なしニック」はその不名誉な名前に眉をしかめた。
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