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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第7章 【帽子の王様】


 何の前触れも無く突然背中から襲ってきた衝撃に息がつまり、もう少しのところで舌を噛むところだった。げほげほとむせかえりながら後ろを振り向くと、ホグワーツ特急で一瞬だけコンパートメントに顔を見せたロンの双子の兄貴、フレッドとジョージが満面の笑みで肩を並べていた。

「なんだなんだぁ、せっかくグリフィンドールに入ったってのに俺達に挨拶なしかよ。冷たいねぇ」
「しかし組分け終えてすぐナンパとは、見かけによらず手が早いな」
「な……ナン、パ?」

 事態が飲み込めず目を点にしているクリスに、フレッドとジョージは妙に仰々しい手つきでクリスの肩に手を乗せた。

「いいか、確かにお前は顔がいい。だが、男ってものはそれだけじゃあいけない」
「そう!例えば僕らのように賢く」
「行動力に溢れ」
「繊細で」
「情熱的で」
「そして……」
「「ユーモアがなければ!!」」

事前に打ち合わせたかのような息ぴったりのパフォーマンスが終わると、クリスは点にしていた目を細め、肩に乗せられた手を払いのけた。

「ああ、確かにお二人はユーモアに富んでるよ、だけど男としてはまだまだのようだな。せめて……男と女を見分けられるようにならなきゃお話にならない」
「――へっ?」

 静かにひざの上に置いた握りこぶしをワナワナと震わせ、唇を引きつらせるクリスに、ジョージがすっとんきょうな声を上げ、フレッドは改めてクリスの姿をまじまじと見つめた。その隣りでは、ラベンダーが苦笑いを浮かべている。

「…それじゃあ、君は……女の子だったのか?」
「ご名答。ついでに言うと、さっきお二人の愚弟が同じことを言って私の怒りを買ったばかりだ」

 しまった、と言うように双子は一瞬顔を見合わせた。知らなかったとはいえクリスの逆鱗に触れてしまった以上、ごめんなさいの一言ではすまないのは彼女の目を見れば分かる。フレッドとジョージは一瞬の間に策をめぐらせた。そして導き出した結果は――
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