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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第7章 【帽子の王様】


「いやぁ、すまないクリス嬢。あのどんくさいロニー坊やの事だから、もしかしたらそんな失礼をしでかすんじゃないかと思っていたよ」
「あいつは生まれたときに脳みその一部を母親のお腹の中に置き忘れてきたみたいなんだ。そうじゃなければクリスのように美しい人を男と間違えるものか。あいつは天性のバカなんだよ」
「嗚呼、とはいえ僕らの弟。よければお詫びをさせてもらいたい」
「今日は僕らのおごりだ。じゃんじゃん食べてくれよ、それじゃ!!」

 導き出した結果は、クリスをおだてつつ問題をロンになすりつけ、言い返される前に素早く逃げ出すという作戦だった。馬鹿馬鹿しい作戦だったが、その馬鹿馬鹿しさに呆けている間にまんまと逃げられ、結局一言も言い返せぬまま双子は人ごみの中に消えて言った。

「……変な奴ら」
「クリスが男の子に……ね。まあ無理もないかも」
「何か言ったか、ラベンダー?」
「ごめんなさい、冗談よ。確かに一見男の子にも見えるけど、やっぱり女の子よ。線が細いし、綺麗だし。きっとお化粧したら映えるわよ、今度やらせてくれない?」

 クリスの顔を覗き込みながら、どういう顔にしようか構想を練るラベンダーは、クリスとは全く正反対の女の子らしい女の子そのものだ。もしかしたら母・レイチェルが生きていたら、自分もこんな風に育っていたかと思うと胸がちくりと痛んだ。

「そのうちに、ね」
「ええ!楽しみにしててね」

 それからしばらく、久しぶりに女の子の会話を楽しんだ。ころころと表情が変わり、鈴を転がすような声で笑いながら話すラベンダーは、クリスの目から見ても十分可愛いと思う。そしてお喋りも上手で、とにかく次から次へと話題が出てきて尽きる事がない。
 素直に黄色い声を上げるラベンダーのお喋りを聞いている最中も、着々と組分けは続いてゆく。そしてついに彼の名前が読み上げられた時、ラベンダーも他の生徒も、一斉に口をつぐんだ。

「――ポッター・ハリー!」
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