第7章 【帽子の王様】
続いてぼろぼろの組分け帽子は各々の寮の特徴にちなんだ歌を歌い始めた。
グリフィンドールは勇敢な 騎士道精神溢れる者を
レイブンクローは学識を 温故知新の賢者が学ぶ
ハッフルパフは堅実で 平和と調和を愛する使者に
スリザリンは狡猾に 深き野望が己の未来を照らし出す
誰もが持ってる未知の力が かならずそこで花開く
私の名前は組分け帽子 この世で唯一『智』をもつ帽子!
組分け帽子が歌を歌い終えると、割れるような拍手喝采が巻き起こった。丁寧に4つの寮のテーブルに向かってお辞儀をすると、帽子の隣に待ち構えていたマクゴナガル先生が長い羊皮紙を手に前に進み出た。
「アルファベット順に名前を呼びますから、椅子に座って帽子をかぶり、組分けの儀式を受けてください。――アボット・ハンナ!」
名前を呼ばれると、金髪のお下げを結った女の子が新入生の列の中から弾かれるように出てきた。一番初めで緊張も一際だろう、顔を真っ青にしてがたがた震えている。きっと彼女は今アボットというAではじまる自分の姓を恨んでいるに違いない。
大広間全員の視線を浴びながら、ハンナは組分け帽子をかぶった。今や誰も喋る者はいない、何十分にも感じられる静寂の後、帽子がまたぷるぷると震えだして彼女の寮の名前を叫んだ。
「ハッフルパフッ!!」
黄色いアナグマの寮旗を掲げたテーブルから、爆発的な拍手や歓声がまきおこり、ハンナは一気に緊張が解け力が抜けたのか、よろよろとハッフルパフのテーブルに向かった。
「ボーンズ・スーザン!」
再びマクゴナガル先生が羊皮紙に書かれた名前を読み上げると、列からスーザンが出てきて、組分け帽子をかぶった。
「ハッフルパァッフ!」
またもや声高にハッフルパフの名前を告げると、スーザンはハッフルパフ寮生に暖かくテーブルに迎え入れられた。
こうして次々と生徒の名前が読み上げられ、それぞれの寮のテーブルに向かっていった。テリー・ブートとマンディ・ブロックルハートスはレイブンクローへ、そしてミリセント・ブルストロードという女がスリザリンに選ばれた時、クリスは思わず顔をしかめた。