第6章 【friend ship】
「ご察しの通り、我が家はマルフォイ家と深い交流のあるような家だ。決して大手を振ってお日様の下を歩けるような立場じゃない。でも家は家、私は私だ。それでも君らが気に入らないというなら、今後一切君達には近づかないよ。特にハリー、君には責められても文句は言えない」
グレイン家に生まれたクリスにとって、こういった状況は決して少なくなかった。彼らが何を言おうとしているかなんて、この戸惑った表情を見れば直ぐに分かる。
こんな風に知れてしまったことに後味の悪さを感じながら、クリスは自嘲的にほくそ笑んだ。
「折角仲良くなれそうだったのに、残念だな」
「違う!!」
ハリーが身を乗り出し力強く叫んだ。先ほどまで困惑に歪んでいたエメラルド・グリーンの瞳が一瞬大きく見開かれたかと思うと、今度は徐々に潤いを増していく。まるで捨てられた子犬のような目をして、ハリーはふるふると首を振った。
「違うんだ……クリス、僕達そんなつもりじゃ……」
そのとき湧き上がった感情は罪悪感だったのか、それとも別の何かだったのかは分からない。ただ今にも泣き出してしまうんじゃないかというほど、眉をひそめて首を振るハリーを見て、クリスの目頭の奥がツンと痛くなった。
「……すまない。ちょっと意地悪な言い方だったな」
「ううん、僕の方こそごめん。家や家族で判断されるがイヤだって、僕が一番分かってたはずなのに」
一瞬でもクリスを疑ってしまった事を後悔しているのか、ロンは苦しそうに顔を伏せた。しかしロンが悪いわけではない、当時を知る親に育てられたなら当然の事だ。中にはグレインの名を聞いただけで逃げ出す者もいる。それに比べれば、ロンの反応はまだ優しい方だ。