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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第6章 【friend ship】


 今度はクリスがコンパートメント中に響き渡るほどの大声を出すと、ドラコではなくその後ろに控えていたクラップとゴイルに声をかけた。

「クラップ、ゴイル。さっさとドラコを連れてここから出て行くんだ、いいな!」
「クラップ、ゴイル。もしそんな事をしてみろ。ただじゃおかないぞ、いいな!」
「クラップ、ゴイル。私の言う事が聞けないのか?」
「クラップ、ゴイル。僕の言う事が聞けないのか?」
「クラップ!!」
「ゴイル!!」

 一分の隙もない息の合った追いたてに、クラップとゴイルはどっちの言う事を聞けば良いのか分からずおろおろと2人の顔を見合わせた。体は大きく見栄えはするが、少し脳みその足りないこの彼らは、こういった場合のとっさの判断というのが出来ないというのが欠点だ。

「くそ、もういい!だいたいクリス、いったい僕の何がそんなに気に入らないって言うんだい?」
「頭のてっぺんから爪先まで全部!!」
「……ぷっ!」

 クリスの見事なまでの完全否定に、おもわずロンが吹き出してしまった。するとドラコはそれまでの必死な表情を変え、完全に馬鹿にした目でロンを見やった。

「お前に笑われる筋合いは無いな、ええ?ウィーズリー」
「なんで、僕の名前を……」
「教えて欲しいか?父上がいつも仰ってるからだよ。ウィーズリー家の人間はみんな赤毛のそばかす顔で、おまけに子供がうじゃうじゃいて、いつもみすぼらしい格好をしてるってね」
「ドラコッ!口が過ぎるぞ!!」

 クリスのお説教をドラコは無視した。そして髪の毛と同じぐらい顔を真っ赤にして、食い千切れるんじゃないかというほど下唇を噛んで目線を落としたロンを鼻で笑うと、満足げな顔でハリーに手を差し出した。

「やあ、久しぶりだね、ハリー・ポッター。僕の名前はドラコ・マルフォイだ。魔法族には優れた者とそうでない者がいる。僕が付き合う人の選び方っていうのを教えてあげるよ」
「悪いけど遠慮するよ。友達は自分で選ぶ事にしてるんだ」

 差し出された手をハリーは払いのけた。クリスに拒絶され、次いでにハリーにも拒絶され、子供の頃から持てはやされて育ったドラコにしてみれば、今日は人生でワースト3に入るほど屈辱的な日となっただろう。彼の青白い額にありありと浮かぶ血管が、それを物語っている。
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