第5章 【最悪の訪問者】
「3人とも私と同じ新入生よね、もうどの寮に入りたいか決めてる?私いろいろと調べてみたんだけど、グリフィンドールが一番良いみたいね。ダンブルドアもそこの寮出身だって聞いたわ。だから私もグリフィンドールが良いんだけど……そうね、でもレイブンクローも悪くないわ。だってあそこは校内でも特に勤勉な生徒が集まるらしいじゃない」
「……はッ!」
ついに耐え切れず出てしまったクリスの鼻にかけた笑いに、ハーマイオニーはムッとして口をつぐんだ。一度口を挟んでしまった以上、もうなかったことには出来ない。
「何かしら?」
「いや失礼……確かに君の言うとおりレイブンクローは向いていると思うよ。あそこは勤勉で知恵を重宝しているのが特徴だからね。秀才の君にはぴったりだけど……君は一つ大事な事を学び忘れているみたいだ」
「ちょ……ちょっとクリス?」
さっきまでご機嫌に話していたのに、いきなり態度を変えたクリスにハリーとロンは戸惑いを隠せなかった。自分達やネビルをからかった時とは明らかに目つきが違う。顔の表情は至って平静だったが、独特の赤い瞳が刺すように冷たかった。
「私が学び忘れてる事って?」
「それは『慎み』だよ、ハーマイオニー・グレンジャー。少しはその大きな歯を隠すという事を学んだ方がいい」
「――~~っっつ!!」
クリスの痛烈な一言にハーマイオニーは顔を真っ赤に染めると、窓ガラスが割れてしまうんじゃないかというほど思いっきり扉を閉め、コンパートメントを出て行った。
「ああ嫌だ、なんなんだアイツは」
「きっと今、むこうも君と同じことを思ってると思うよ」
「気持ちが分からなくもないけど……あれはちょっと言いすぎじゃないの?」
「言い過ぎ?あれでも少し抑えた方だ。まさかこの世にパンジー・パーキンソンと張り合うほど嫌味な女がいるとは思っても見なかった。絶対にあいつとは同じ寮になりたくないな」