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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第1章 【深窓のご令嬢?】


「本当に襲ってきたりしないよな?」
「だから大丈夫だって、私がいるんだから。それともドラコ、ひょっとしてカラスが怖いのか?」
「たっ、たかがカラスが怖いなんて……そ、そんなこと、あああるものか!」

 強がっては見せたが、内心はかなりビビッていた。その恐怖心からなのか、だんだんと近づくにつれ、カラスどもがより凶暴に喚き今すぐにでもこちらに襲ってくるような気がした。

 背中の少女は恐怖よりも好奇心のほうが勝っているのか、興奮したように以前見たカラスのヒナの話しをしている。だが今のドラコにそんな話を聞いている余裕はなかった。「やっぱり止めよう」と言う言葉を必死に飲み込みながら、慎重に箒を降下させるのが精一杯だった。

 だから最初に異変に気付いたのも、やはりドラコの方だった。明らかに森のカラスどもが、群れを成してこちらに近づいてきている。ドラコは震える声で背中のクリスに話しかけた。

「な、なぁクリス……カラス達がどんどん近くなってる気がするんだけど……」
「何を言ってるんだ、私達が近づいていってるんだから当たり前だろう」
「いっ、いや、そうじゃなくて……」
「じゃあ何……って――うわあぁ!!」
 
 気付いたときにはもう遅かった。上空から巣に近づいてくるクリス達を敵と見なした無数のカラス達が、2人に襲い掛かってきた。ドラコはカラスを振り切ろうと無我夢中で箒を操縦し、クリスもそれに振り落とされないよう必死に片手でドラコにしがみつきながら、もう片方の腕をむちゃくちゃに振り回した。

「くっ、来るなよ!このぉっ!」
「こらっ!お前達やめろ、やめるんだ!」

 それでもなお、カラスたちの追撃は止むことはなかった。巣に近づくものは例え主人だろうと何だろうと容赦はしない。

 それでもなんとか結界内に戻ってくることは出来たが、逃亡戦に力を使い果たしたドラコは着陸を誤り、2人は箒ごと木に突っ込んでしまった。幸い、大きくはった枝がクッション代わりとなり大怪我にはいたらなかったが、体中のあちこちに擦り傷や切り傷ができ、血が出ていた。

「――痛ってて…カ、カラスどもは……?」
「はぁ…はぁ……大丈夫、もう襲ってこないみたいだ」
「くそっ、だから僕は嫌だったんだ!森に近づくなんて!」
「わ、私だってこんな事になるなんて思ってなかったさ!!」
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