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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第37章 【終業式】


 奇跡の終業式から1夜明け、ついに家に戻る日がやってきた。ハーマイオニーに荷造りを手伝ってもらい、なんとか荷物を全てトランクに押し込むと、残ったのは空っぽのクローゼットだけになった。
 最後にネサラを鳥かごに入れてから談話室に下りていくと、試験の結果が発表されていた。トップはもちろんハーマイオニーだったが、クリスもあの猛勉強が功を成したのか全教科90点以上と思っていたよりかなり良い出来だった。ハリーもロンも中々の成績でパスし、4人は大満足でホグワーツ城を後にした。

 ホグズミード駅のプラットホームは、帰りの汽車に乗る生徒でいっぱいだった。クリスマス休暇の時と比べ、荷物が多い所為か余計に混雑している。最後尾近くにあいているコンパートメントを見つけると、4人はそこに乗り込んだ。
 ここに来た時と同じ、窓をはさんで3人がけのイスが2つ向かい合わせに並び、あとは荷棚があるだけの質素な列車。再びこれに乗るのは、まだ2ヶ月も先になる。そしてそれまでの間は、またあの屋敷で退屈な日々が待っているのだ。クリスは生徒の行き交う騒々しい車内を眺めながら、ため息をついた。

「ふう……“危険が過ぎれば神を忘れる”とはよく言ったものだな」
「なんのこと?」
「思い返せば、この1年は退屈しなくて良かったと思ってさ」

 クリスの言葉に、3人はあんぐりと大口をあけた。

「冗談だろ?」
「あんなに大変だったのに、“良かった”ですって?」
「やっぱり君ってちょっと変だよ」

 ロンを皮切りに、ハーマイオニーとハリーがそれに続いた。まあ賛同は得られないと思っていたが、ハリーに『やっぱり変』とまで言われれば、黙ってはいられなかった。

「やっぱりとは失礼だな。それに家に帰ったら、何もする事が無くて死ぬほど暇なんだよ。ぜいぜい本を読むかドラコをからかうか、あとは散歩くらいしかないんだから」
「そういえばマルフォイのやつ、今日は君を誘いに来ないね」
「もしかして昨日スリザリンから寮杯を奪った事、根に持ってるんじゃないの?」
「なら丁度良いさ、どうせまた家にいる間はドラコと顔を突き合せなくちゃいけなんだからな」
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