第37章 【終業式】
ドラコとは夏休み中も変わらず会う事になるだろう。だがハリーやロン、ハーマイオニー達とはそうそう気軽に会う事は出来なくなってしまう。そう思うとなんだか胸に穴があいたような気分がした。
ホグワーツに入学してから約1年が経つが、4人が2ヶ月もの長期間を離れ離れになるのは、これが初めてだ。今まで同じ寮で暮らしていた分、離れて暮らすのはやっぱり少し寂しい。そしてそれはみんな同じ気持ちだった。
「みんなに手紙、沢山送るから」
「僕も。なんだったら家に遊びに来てよ、ちょっと狭いけどいつでも歓迎するよ」
「そうだわ、夏休みといえばハリーの誕生日もあるじゃない。何か送るわハリー、何が良い?」
「えっ!?……い、いいよ。なんだか悪いし……」
ハリーがまるでネビルのように真っ赤になって口篭もった。どうやら照れているらしい。ひざの上に乗せたヘドウィグの籠に、顔を半分埋めている。
「なんだよ、遠慮するなハリー」
「そうよ。私達が送りたいと思ってるんだから、素直に言ってちょうだい」
「えっと……じゃあケーキとか、お菓子が……いいかなあ」
「よし、それじゃあハリーの誕生日にはお菓子とケーキを沢山贈るよ」
とたんにハリーの顔がぱあっと明るくなると、それにつられて3人が笑った。この笑顔が一つでも欠けていたら、きっとこんな幸せな時間は訪れなかったはずだ。皆で他愛もない話しをしたり、お菓子を食べたり、笑いあっているうちに列車は走り出し、徐々にスピードを上げて気がつく頃にはもう学校も駅も見えなくなっていた。
山を抜け、森を通り、ホグワーツ特急は少女達を乗せて青空の下を走る。こうして長くて短い、ホグワーツでの最初の1年が幕を閉じた――――。