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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第37章 【終業式】


「だが、これには最近の点数が加算されておらん。そこで今ここで、それぞれに点数を与えようと思う。まずは――ロナルド・ウィーズリー!」

 名前を呼ばれ、ロンがびっくりして背筋を伸ばした。そばかすらだけの顔に、ほんのり赤みが差し込んでいる。

「友の命を預かりながら、見事巨大チェスを打ち破ったその精神力を称え、グリフィンドールに50点を与える」

 ワッと大きな歓声がロンを取り囲んだ。今までこんなに注目された事のないロンは、顔を髪の毛と同じくらい真っ赤にしながらあたふた周りを見渡している。フレッドとジョージが興奮して椅子の上に立って「流石は俺達の弟だ!」と叫んでいた。

「次にハーマイオニー・グレンジャー。炎に囲まれながらも冷静な論理を用いて対処したその頭脳を称え、グリフィンドールに50点を与える」

 またもグリフィンドールから大きな歓声が巻き起こった。これで2人あわせて100点になる。ダンブルドアはさらにクリスとハリーの顔を見た。

「そしてクリス・グレイン。自らの危険を顧みず、苦難を乗り越え友を助けに向かったその熱き友情に、グリフィンドールに50点を与えよう。そして最後に――ハリー・ポッター!」

 ハリーの名前が呼ばれると、みんな声を上げるのをやめた。これで150点が加わり現在グリフィンドールは第3位、ハリーが加点されれば一気に2位まで浮上する。澄んだ青空のようなダンブルドアの瞳が、キラキラ光りながらハリーに注がれている。

「……揺るがぬ信念と決断力、そして類稀なきその勇気を称え、グリフィンドールに60点を与える」

 途端に爆発的な歓声がグリフィンドールから4人に向けられた。これで472点、現在1位のスリザリンと並んだ。絶望的な点差からの怒涛の巻き返しに、殆どの生徒が興奮して立ち上がっている。
 ダンブルドアはグリフィンドールのテーブルに向かって両手を挙げた。

「勇気にもいろいろな形がある。そう、例えば敵に立ち向かうのにも大いなる勇気が必要だが、時に友に立ち向かうという事にも、やはり勇気が必要じゃ。そこで――ネビル・ロングボトム」

 ディーンとシェーマスの隣に座っていたネビルが、小さく悲鳴をあげて肩を震わせた。最下位からスリザリンと並び1位になっただけでも奇跡的なのに、まさか……と、大広間にいた全員が固唾を飲んで見守った。
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