第37章 【終業式】
大広間に滑り込むと、運よくまだ式が始まる前だった。しかしクリス達が広間に入ると、4つの寮のテーブルについていた生徒の殆どが、一斉にこちらを振り向いた。2週間前とは違う、期待と羨望の入り混じる何千もの視線に違和感を覚えつつ、4人はグリフィンドール席の端っこに座った。
「何があったんだ、あれ」
「知らないの?ダンブルドアが例の禁じられた部屋での出来事をみんなに言っちゃったんだよ」
「なるほどそういう事か……皆様、調子のおよろしいことで」
200点の減点以来、スリザリンの生徒以外はわざとクリス達を視界に入れないようにしていたのに、今はこの様だ。みんなずいぶん勝手なんだなと、クリスはその視線を鼻で哂った。
「そう言うなよ、みんな事の真相を知りたがってうずうずしてるんだ」
「それが調子いいって言うんだ。減点された時はみんな言いたい放題言ってくれたくせに」
「はいはい、そこまでよ。ほら、式が始まるわ」
教職員テーブルの中心でダンブルドアが立ち上がると、みんなお喋りを止めた。シンと大広間が静まり返り、生徒の視線は全てダンブルドアに注がれる。ダンブルドアは大きく両手を広げ、広間の隅々まで届くような声で話し始めた。
「今年も、また1年が過ぎた。生徒諸君は皆この1年を有意義に過ごした事だろう。勉学に励んだ者、スポーツに励んだ者、はたまた悪戯に励んだ者、その全ての者の行いは、ここに如実に表れておる。それでは発表しよう、まず第4位――グリフィンドール252点。続いて第3位――ハッフルパフの352点。そして惜しくも第2位――レイブンクローの426点じゃ」
各テーブルからおざなりな拍手が聞こえてくる。その中でもグリフィンドールからの拍手が1番小さかった。無理もない、こんな惨敗はホグワーツ始まって以来の事だろう。途中まで首位を争っていただけに、みんなの落胆は大きい。
「そして栄えある第1位は――スリザリン、412点じゃ」
スリザリンのテーブルから歓喜に満ちた拍手が鳴り響き、瞬く間に大広間の装飾がスリザリンカラーに彩られた。これで7年連続スリザリンの寮杯獲得になる。はしゃぐスリザリン生の歓声をダンブルドアが遮った。