第4章 【ハリー・ポッター】
「そういえば駅であったロンの家族って、みんな魔法使いなんだよね。それに兄妹が3人もいて、楽しそうでいいね」
自分の事ばっかりではつまらないと、何気なく家族の話題を出したハリーだったが、何故かロンの顔は曇っていた。
「本当は7人兄弟だよ、だけどもううんざりさ。1番上のビルは主席で卒業して、2番目のチャーリーはクィディッチのキャプテンだった。そして今度は3番目のパーシーが監督生だ。フレッドとジョージはあれでクィディッチの選手で、結構みんなから好かれてるし。その点、僕は何のとりえもないから……」
だんだんと声が小さくなり落ち込むロンに、まさか話しがこんな方向に転ぶとは思ってなかったハリーは、とにかくロンの話しを打ち切らせようと急いでクリスに話しをふった。
「えっと、それじゃあクリスの家族も魔法使いなの?それともマグル?」
「魔法使いだよ、それもずーっと昔から」
「それじゃあ魔法界の事には詳しいんだね。うらやましいよ、僕なんにも知らないから」
「まさか!私にはハリーの方が羨ましいよ。できるなら私もマグルに囲まれて暮らしたかったんだ」
おそらく屋敷でそんな事を言おうものなら、チャンドラーは怒髪天の末血管をいくつかブチ切るだろうし、父親は眉間のしわをいつもより3割り増しで無言の圧力をかけてくるだろう。だから彼らには決して届く事のない遠く離れた列車の中から、ため息交じりに本音を漏らした。
「へぇ……おどろいた、クリスって僕のパパみたいな事を言うね」
どうやらハリーのとっさの作戦は上手くいったようだ。クリスの衝撃的な発言にロンは落ち込んでいた事を忘れてポカンと口を開けて驚いた。それもそのはず、魔法界でマグルに囲まれて暮らしたいなんて言うヤツは、まず間違いなく奇人か変人扱いを受けるほど稀だ。
「僕のパパも、そんなこと言ってはしょっちゅう電気プラグとかを集めてるよ」
「それじゃあロンのお父様とは気が合いそうだな――って、待てよ。ウィーズリーってもしかして、マグル製品不正使用取締局のアーサー・ウィーズリー氏!?」
「そうだけど……良く知ってるね」
「当たり前だ、マグル製品愛好家の中でも有名な方だもの。まさかこんなところでウィーズリー氏のご子息にお会いできるなんて!」