第34章 【7つの関門を突破せよ】
その瞬間、ハリーが膝スレスレ高さで箒の柄をグイッと水平に戻すと、後ろを追いかけてきていた鍵の群れがすさまじい音を立てて床に叩きつけられた。部屋中に耳を塞ぎたくなるような金属音が響き渡る。
「そこだっ!」
その群れの中から、ハリーが素早く古い銀製の鍵を掴み取ると、そのまま鍵穴に差し込んだ。予想通り、何をしても動かなかった鍵がガチャリと音を立て扉が開いた。しかし、その扉を開けた瞬間、4人はものすごい悪臭に鼻をおさえた。
「うっっわ!なんだこれ、ゲロ以下の臭いがプンプンするぜ!!」
「見て、あそこにトロールがいるわ」
開けた部屋の隅に、ハロウィーンの時に見たトロールの3倍はあろうかという巨大なトロールが気絶してあお向けに倒れていた。おそらくスネイプが倒した後なのだろう。
気づかれないように、4人はしのび足で壁際にそって歩いた。しかし気絶していても、トロールから臭ってくるむせ返る激臭がクリス達を苦しめてきた。
「よかった。今こんなのと戦ってたら、勝てる自信ないよ」
「多分これがクィレル先生の罠だったんだよ。でもこれで半分は突破したから、残るはスネイプとマクゴナガル先生とダンブルドア先生の仕掛けた罠だ」
「難しそうなのが全部残ったわね」
これまでだって別段難しくなかった訳ではないが、これより先はさらなる難関が待ち構えている事だろう。相手はあのスネイプと、そしてホグワーツの副校長と校長だ。簡単に突破させてくれる訳が無い。クリスはゴクリと喉を鳴らした。
「それじゃあ、扉を開けるよ」
ハリーが次の扉を開けた。すると今まで真っ暗だった部屋から一転、眩しい照明に思わず目を瞑った。ゆっくり瞼を持ち上げると、目に飛び込んできた光景に4人の声が重なった。
「「「「……チェス?」」」」