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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第34章 【7つの関門を突破せよ】


「誰かさんが杖を手に持っていてくれたおかげで、僕ら九死に一生を得たね」
「急ごう、あそこに扉がある」

 照らされた部屋の隅に、ハリーが扉を見つけた。しかし開けた瞬間、また何か襲ってこない保証もない。4人はそれぞれ杖を握りしめ、恐る恐る扉を開けた。
 すると扉の奥には細長い廊下のような部屋が広がっていて、高いアーチ型の天井には数え切れないほどの奇妙な小鳥が飛んでいた。部屋中に耳をつんざく無数の羽音が反響し、カチカチと不気味な鳴声を出している。
 そして厄介な事に、次の部屋に続く扉が、長細い部屋のちょうど反対側にあった。

「これって、部屋を渡ったら襲ってくるのかなあ?」
「多分ね。だけど僕は走るよ」

 確かにこれ以上もたもたしている時間はない。ハリーが勢い良く駆け出すと、他の3人もその後に続いた。クリスは走るのが苦手なので自分が真っ先に襲われる事を覚悟したが、扉にたどり着いても、小鳥達が襲ってくる気配はなかった。しかし――

「開かない!?」

 押しても引いてもハーマイオニーが呪文をかけても、重い樫の扉はびくともしなかった。

「きっと何か別の方法があるんだわ。じゃなきゃこんなところに小鳥がいるはずないもの」
「……違う、あれは鳥じゃない。『鍵』なんだ!」

 ハリーの眼鏡が光った。確かに言われて良く見てみると、羽根のついた鍵が空を飛んでいる。鳴声だと思っていたのは、鍵の金属部分がぶつかり合ってカチカチ鳴っているだけだった。

「つまり、あの中のどれかが扉を開ける鍵ってことか」
「多分扉についてる取っ手と同じ、古い銀製の奴だと思う」
「古い銀製――アレだ!!」

 クリス達の目では分からなかったが、ハリーの2つの目はしっかりと目標を捕捉していた。伊達に100年ぶりの最年少シーカーを努めているわけではない。ハリーは素早く辺りを見回し、部屋の隅に転がっていた箒を見つけると、ヒラリとそれに跨った。

「頼んだぜ、ハリー!」
「OK、任せといてよ」

 ハリーは自信満々に床を蹴ったが、相手もそうそう上手くいかせてくれない。箒が宙に浮いたとたん、羽根の生えた無数の鍵が一斉にハリー目がけて突進してきた。

「うわあぁあ!」
「大丈夫ハリー!?」
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