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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第34章 【7つの関門を突破せよ】


「なんなんだコイツ!クッ、放せこの!」
「クソッ!まとわりつくなよ!」
「待って、暴れちゃだめよ!確か本で読んだ事があるわ。これは『悪魔の罠』と言って、無理やり解こうとすればするほど締め付けてくるのよ!」
「ハーマイオニー。言うのが、ちょっと遅かったかも……」

 例によって例のごとく、短気なクリスが怒りに任せて暴れたおかげで、4人の内で1番ツルがからまってしまった。そしてロンとハリーも、しだいに四肢の自由を失い始めている。そんな中でハーマイオニーだけ若干ツルの進行が遅れていた。

「ハーマイオニー、何かこいつに弱点はないの!?」
「待って、今必死に思い出してるわ……『悪魔の罠』は、暗闇と湿気を好み……ええと……」
「ハ…ハーマイオニー……早く…苦し、い……」

 ついにクリスの首にツルが巻きついた。せっかくフラッフィーという最初の関門を越えたのに、こんなところで死ぬなんて絶対に嫌だ。しかしツルはゆっくりと、だが確実にクリスの首を絞めてゆく。もうこうなってしまうと、暴れても暴れなくてもツルを止めることは出来ない。

「あ……が、息が…でき……」
「クリス!!?駄目よ、もうちょっとだけ我慢してて!今、今何か方法を――」
「そうだ!ハーマイオニー火だ、火を起こすんだ!」
「えっ!ええ、分かったわ。――ああ、でも駄目よ!どこにも火が見当たらないわ!」
「しっかりしろよハーマイオニー、君が手に持っているものは何だ!!」

 ハーマイオニーがハッと息を呑む音が聞こえた。そして辺りを照らしていた光が、青い炎に変わったかと思うと、ハーマイオニーがそれをクリスにからむツル目がけて発射させた。
 そして見事に放った青い炎がツルに命中すると、クリスを縛り付けていた全てのツルがシュルシュルと体を離れ、クリスはその場に倒れこんだ。

「はぁ……はぁ……助かった。私よけいに薬草学が嫌いになりそう」
「大丈夫かいクリス?」

 同じようにハリーとロンも助け出された。またツタが襲ってくる前に4人で一斉に杖に灯りを点けると、ハーマイオニーが言っていた通り『悪魔の罠』のツルは光を避け近づいてこなかった。初めにハーマイオニーだけツルの進行が遅かったのも、杖の灯りを持っていたおかげだろう。
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