第4章 【ハリー・ポッター】
少しも悪びれた様子もなく、くつくつと声をひそめて笑うさまは、誰がどう見ても馬鹿にしているようにしか見えない。少年2人はそれを見て、怒ってコンパートメントを出て行こうとしたが、後からクリスに引き止められた。、
「待った待った、分かった悪かったよ。からかったのは謝るから、どうか座ってくれないか?流石にホグワーツまでの長旅に一人と言うのは退屈だし、それにそっちも座るところが無いんだろ?」
悪普段は寡黙な父親と口うるさい屋敷しもべ、そしてひねくれた幼馴染としか接してこなかったクリスにしてみれば、これほど素直に反応を返してくれる相手というのは初めてで、面白くて仕方が無い。クリスはたちまちこの少年達が気に入った。
そして幸か不幸かクリスに気に入られてしまった少年達は、確かに彼女の言うとおり他に座るところのがないのでしぶしぶ席についた。
「それじゃあ改めまして。私の名前はクリス・グレイン、ホグワーツは初めてなんだ。よろしく」
クリスが滅多にない素直な笑顔で握手を求めたが、出会いが出会いなだけに少年2人は訝しげな目つきで差し出された手を観察し、更なる陰謀が無いか確認してからクリスの手を取った。
「僕はロン、ロナルド・ウィーズリーだよ。君と同じホグワーツ1年生。あ~、そしてこっちが……」
ロンと名乗った赤髪の男の子は、なぜか隣にいた眼鏡の少年を落ち着かない仕草でチラチラと横目で見やった。何か言い出しづらい理由でもあるのか、「あ~」だの「その…」と、どうしても先を言い出さず、歯切れの悪い紹介に堪り兼ね、ついに眼鏡の少年本人が名乗りだした。
「僕はハリー・ポッター、僕もホグワーツは初めてなんだ」
僕はハリー・ポッター……ハリー・ポッター……ハリー・ポッター……ハリー…
――ハリー・ポッター!?――