• テキストサイズ

ハリー・ポッターと小さな召喚士

第33章 【未来を掴め】


「よし、それじゃあ今夜2人で行こう。僕の透明マントがあるから……」
「待ったハリー。なあ、一つ聞かせてくれよ」
「……初めに言っておくけど、ロン、止めても無駄だよ」
「そんなの知ってるさ、僕が聞きたいのは――その透明マント、定員は何名までかな?あと2人ほど追加したいんだけど」

 ロンの申し出に、ハリーは言葉を失った。ロンもハーマイオニーも笑っている。クリスやハリーと、同じ希望に満ちた表情で。

「まさか君たちも……行くつもりなのかい?」
「当たり前だろう。2人だけに良いカッコさせられるかよ」
「それにマクゴナガル先生の言う堅固な守りって、私、ちょっと興味あるのよ」

 きっと物凄く複雑で難しい魔法に違いないわ、とハーマイオニーはまるでおもちゃを目の前にした子供のような顔をした。きっと他人からすれば、これからクリス達がやろうとしている事は全くの無謀だと思われるだろう。だけど恐怖を目の前に、ただ震えて死ぬ時を待つよりはずっと良い。

「よし、やろう!僕たちの手で未来を掴むんだ」

4人は手を取り合った。根拠も自信も力もないけれど、その胸には勇気が輝いていた。

* * *

 そして4人は夜を待った。ハーマイオニーは少しでも役に立つ呪文を覚えようと、膨大な数の本を読破しているし、ロンは落ち着かないのかそわそわと暖炉の前を回っている。ハリーは額の傷を押さえながら何か考え事をし、そしてクリスは談話室の窓から空を眺めていた。
 赤い火の星が、今夜は一際輝いて見える。恐らくあれが静まらない限り、クリス達に未来は無い。談話室から生徒が一人消え、二人消え、そして最後の生徒が談話室を出て行った時、ハリーが透明マントをもって自室から戻ってきた。――いよいよだ。

「ここで1回マントを着てみよう。4人ちゃんと隠れられるか分からないし、もし誰かの足が1本でも出てたらフィルチに怪しまれるよ」
「案外ゴーストだと勘違いしてもらえるんじゃないか?」
「そんなに上手くいくかな?」
「――…いかないよ」

 部屋の隅から4人のものではない声が聞こえてきた。急いで振り返ると、ソファーの陰からネビルが姿を現した。いつもの困ったような、気弱そうな顔ではない。震えているが、ハリーたちをしっかり睨みつけている。
/ 375ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp