第33章 【未来を掴め】
ハリーが余計な事を言ってくれたお陰で、マクゴナガル先生の額に青筋が浮かんだ。
「あなた達がまた何を企んでいるのかは知りませんが、校長先生にお会いする事は出来ません。たった今、魔法省から緊急の連絡を受けてロンドンに発ったばかりです。ですから諦めなさい」
「たった今!?……あの、それって直ぐに帰ってくるんですよね?僕達すごく、大事な用があって」
ハリーが焦りながら、でもシドロモドロ尋ねたので、余計にマクゴナガル先生の不信感を買ってしまった。4人を見下ろす先生の目は、氷ように冷たかった。
「ポッター、彼方の用とやらがどれ程大切でも、校長先生は明日までお帰りになりません。これは絶対です。分かったら戻りなさい」
「先生、『賢者の石』についてなんです!」
ついにハリーが大胆にもその名を口にすると、マクゴナガル先生が手にしていた本をバサバサと落とした。顔から血の気が失せ、呆然と4人の顔を見詰めている。
「あなた達……どこでそれを……」
「詳しい事はあとで校長先生とご一緒の時にお話します。まずは先生、早くダンブルドア先生を呼び戻してください!『賢者の石』が狙われているんです!」
「……残念ながらそれは出来ません、ポッター。魔法省大臣直々の要請なんです。それに『賢者の石』にはあなた達が想像も出来ないほど堅固な守りが施されています。安心なさい」
マクゴナガル先生は素早く本を拾うと、それっきり何も言わずに去っていってしまった。その場に取り残されたクリス達は、言葉も無くただ突っ立っていた。
安心なさいって、マクゴナガル先生はいったい何の根拠があって安心しろと言うんだろう。スネイプはその立場を利用し、他の先生の仕掛けた罠の攻略法を次々に入手いている。そしてついにフラッフィーの手なずけ方まで知ってしまった。それでも今まで手を出さなかったのは、全てこのホグワーツにダンブルドアがいてくれたお陰なのに……今はそのダンブルドアさえいない。
「今夜だ……」
おもむろにハリーが沈黙を破った。
「スネイプが賢者の石を手に入れるなら、今夜しかない。もう全ての準備は整ってるんだ、そして一番やっかいだったダンブルドアさえホグワーツから遠ざけた。奴は今夜こそ計画を実行させる気だ、そして……」