第33章 【未来を掴め】
「たしかに勝負自体は簡単だったな、だけどある条件を出してきたんだ。ドラゴンをきちんと飼えるって保証がなけりゃ、タマゴをやるわけにはいかないって。まあドラゴンの扱いは難しいからな、男が心配するのも無理ねえ。それで俺は『三頭犬に比べりゃ、ドラゴンなんて楽なもんだ』って……」
「言っちゃったの?」
「仕方ないだろう、そうでも言わなきゃ貰えんと思ったんだ。でも男はそれだけじゃ信用しなくってな、『口で言うだけなら誰でも出来る』って。だから俺は言ってやったんだ『嘘じゃねぇ、本当になだめ方さえ知ってれば簡単だって。なにせあいつは音楽を聞かせればすぐ寝ちまうんだ』ってな。そしたら男はやっと納得したよ」
ハグリッドが口を滑らせたとわかった時には、もう4人は城に向かって駆け出していた。何てことだ、ハグリッドがドラゴンのタマゴを手に入れたときから、もうスネイプはフラッフィーを出し抜く方法を知っていたのだ。
それなら何故今まで、賢者の石を手に入れなかったのか。その理由はただ一つ。
「ダンブルドア先生の所に行きましょう!」
玄関ホールにたどり着くと、ハーマイオニーがせきを切って喋りだした。
「私たちもうずっと前からそうするべきだったのよ。先生に私たちが知っていること全てお話して、スネイプを捕まえてもらいましょう。今ならまだきっと間に合うわ」
4人は意気込んだ。とうとうスネイプの悪事を全てばらす時が来たのだ……しかし、その意気込みが空回りにおわった。肝心のダンブルドア先生が今どこにいるのか、4人とも検討もつかないのだ。そういえば食事の時大広間で見る以外、ダンブルドアの姿を見た憶えが無い。きっと校長室かどこかにいるんだろうけど、ホグワーツの道順に自信のあるクリスでさえ、校長室がどこにあるかなんて聞いたことも無かった。
廊下で右往左往していると、そこに運良く両手に本を抱えたマクゴナガル先生が通りかかった。
「マクゴナガル先生!」
ハーマイオニーが声とっさにをかける。マクゴナガル先生は4人の姿を見ると、僅かに顔をしかめた。どうも例の一件以来、4人でかたまっていると悪巧みをしていると思われるらしい。
「何用ですか、ミス・グレンジャー」
「あの……私たち、校長先生にお会いしたいんです」
「理由は?」
「秘密です」