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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第33章 【未来を掴め】


 クリスが談話室に戻ってきた時には、ハリーが森であった事全てをロンとハーマイオニーに話し終えた後だった。フィレンツェから何を聞いたのかは分からないが、ユニコーンを殺めた者と賢者の石を求める者、ハリーもそれが同一人物だと気付いていた。

「僕らは間違ってたんだ。スネイプは自分のためじゃなくて、ヴォルデモートの為に賢者の石を欲しがっていたんだ。そしてヴォルデモートは力を取り戻し、僕を殺しにやってくる……星の予言通り!」

【第33話】

 禁じられた森での騒動から1週間が経ち、とうとう試験の日がやってきた。生徒はみんな試験のことだけを考えていたが、クリスとハリーはどうしても森で見たものを忘れる事は出来なかった。特にハリーは四六時中額のキズが痛むようで、あれ以来痣の疼かないクリスと違い、時折辛そうに額の傷を押さえている所を見ると余計に落ち着かなさそうだった。

「あんまり気にしすぎるのも良くないわハリー。ダンブルドアがいるんだもの、スネイプだって『例のあの人』だって簡単に手出しはできないわよ」

 ハーマイオニーがそう言ってハリー慰めた。彼女の頭はすでに試験一色だったが、たしかに筆記試験だけでなく実技試験もあり忙しい中で、いつまでも森での出来事を気にしている余裕はない。
 まさに忙殺という言葉どおりの目まぐるしい数日間が過ぎ、試験が全て終了した時は思わずロンでなくても歓声を上げたくなった。

「あー、やっと終わった!これでもう勉強づくしの毎日とはオサラバだ」

 試験が終わり、4人は日差しの眩しい中庭に出て久しぶりに羽を伸ばした。肝心の試験の方も例の猛勉強が功を成し、得意科目も苦手科目も上々の出来だ。芝生で大の字になるロンの隣で、クリスも満足顔で草の上に寝転んだ。気が付くと草も風も日差しも、もうすっかり夏のにおいに変わっている。

「でも思っていたより全然簡単だったわね。1637年の狼人間の行動領域とか、熱血漢エルフリックの反乱なんて勉強しなくてもよかったわ」
「もう止めようよそんな話し。折角のいい気分が台無しだよ、なあハリー?」

しかしハリーはロンの話を聞いていなかった。険しい顔でずっと額のキズをさすっている。
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