第32章 【禁じられた森で見たもの】
。クリスが知っている事といえばせいぜい、ハリーの額の傷は――そうだ、ハリーの額の傷をつけたのは――
「これは私とお前を繋ぐ印だ、だが誰にも見られてはいけない」
「どんな力も、どんな野望も感知できる。例えばそう……君に眠るもう一つの力も」
「僕は『例のあの人』を倒してなんかいない!」
「とぼけても無駄だ、貴様もあの部屋の地下に『賢者の石』がある事くらい知っているだろう」
(“ユニコーンの血は、呪いと引き換えに瀕死の者を助ける”)
(…ユニコ…ンの血を…求…しは…厄災の紅…星を背…う者なり……その…名は――)
――ヴォルデモート――
その事に気付いた。クリスがは、恐怖に耐え切れず近くの木の根元に嘔吐してしまった。本当は認めたくない。認めたくないが、そう考えれば全てが繋がる。
今までずっと、スネイプは自分の為に賢者の石を欲しがっているものだとばかり思っていた。
でももしもハリーの言うとおり『例のあの人』が倒されていないとしたら。もし『例のあの人』の為に欲しがっているのだとしたら、あの時見たのは――